5.唐谷支線(二つのインクラインと廃線レール)

藤ノ川森林軌道で最後に作られたこの支線は唐谷橋から唐谷川上流へ第一インクライン、第二インクラインと二つのインクラインで大半をつないだ支線である。ここでは、標高が低い方を第一インクライン、 標高が高い方を第二インクラインとする。

藤ノ川川下流から上流に向かう車道より見た唐谷橋。唐谷橋欄干の前後にはレールが使われている。軌道跡入り口は橋を渡ったらすぐ左側にある。現在の車道は四万十川に材を運んだ森林軌道がベース。

唐谷橋(唐谷支線の起点)
写真は唐谷橋を藤ノ川川上流側車道から撮影したもの。

欄干の前後が軌道レールでガードレールの役目を担っている。道路拡張中だがこの橋は残される予定である。

唐谷支線全図

軌道跡A①
軌道跡を入るとすぐ左側に堰堤がある。堰堤を作る際に軌道跡は使われたようで、幅が広くなっている。

軌道跡A②
さらに進むと、右山側の岩を削って作られた軌道跡に出る。先は川で途切れており、木製の橋が架かっていたと思われる。途切れた軌道跡の下は石垣が組まれている。

軌道跡B①(AからBの対岸を見た様子)矢印の方向に橋が架かっていた。

軌道跡B②(第一インクライン下の終点付近)
写真:左手の山側にインクラインがきていた。手前が軌道跡A側。

B②の上方の林道横には、科学技術庁の西土佐地震観測施設がある。この上に第一インクライン跡が ある。

軌道跡C
第一インクラインの痕跡を案内してくれた武内幸男さん。
インクラインは横に見える地震観測施設の上から武内さんの立っている場所を下に抜けて唐谷川沿いのインクライン下終点までつながっていた。
矢印は上に伸びるインクライン跡。

第一インクライン①
軌道跡Cから4分の1上がった付近の様子

第一インクライン②
頂上部から下を見た様子

第一インクライン③

左矢印は下へ第一インクライン②の写真の場所。丸で囲んだところは頂上部のやや広い場所。右の矢印に向かって、軌道跡Eに延びる。

軌道跡D~E
比較的崩れが少なく、軌道跡も歩きやすかった。 ただ、軌道跡Eにある作業場コンテナハウスの周辺は車道と堰堤の建設のため軌道跡がなくなっている。

軌道跡E(堰堤と作業場コンテナ)

軌道跡F
林道で削られた第二インクラインの下先端。この場所から、約6~8m下に第一インクラインの平行トロッコ終点があったと思われる。

第二インクライン①
中間地点から軌道跡Fを見下げたところ。

第二インクライン②(7合目付近から下を見る)
矢印の方向に材を下ろした。頂上部には種苗を守る害獣よけネットが張り巡らされて進めない。

第二インクライン③(7合目付近から上を見る)
矢印の先端がインクラインの頂上部。この場所から左はわからないが、右には平行したトロッコの軌道跡が残っている。

軌道跡G
この場所から西側は全伐されており進めない。しかも軌道跡は伐採されたにもかかわらず確認できない。第二インクライン~Gの軌道跡は等高線をもとに記した。軌道跡が残るところは伐採のためのワイヤーが引かれており作業道として使われていた。

軌道跡G~H①
林道の終点付近の沢向こうにレールを発見した武内幸男さん。写真の左右方向に軌道跡がある。左はGで右はH方向。

軌道跡G~H②
対岸から同じレールを見たところ。 沢からレールを確認している阿部敦雄さん。

軌道跡G~H③
Gに向かう途中で5本のレールを確認した。

軌道跡G~H④
この区間で一番大きな石垣がここ。

軌道跡G~H⑤
終点のHに近い地点にあったV型レール。終点付近にはトロッコの往復があったはずなので、そのための引き込みに使われたものと推察できる。

軌道跡H
唐谷支線の終点。炭窯?の石垣を囲むようにレールが引かれていたのかもしれない。これ以上先は岩盤のため軌道敷設が不可能。

唐谷支線を下山中に阿部、武内の両氏が見つけた自生のクロモジの木。(爪楊枝に使われる香木)

付録写真:雪の唐谷林道(2022年2月6日)

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